性同一性障害で結婚生活に耐えられなくなり離婚に 男性 37歳 Y.K.さん

私は30歳になる直前に結婚をして、37歳のときに離婚しました。結婚をしたきっかけは、勢いというか、彼女に結婚を約束している男性がいたので、その男性から彼女を強引に奪うためでした。

付き合ってから数か月のスピード結婚でした。お互いにまだまだ子供だったし、将来のことを真剣に考えていなかったし、ただ勢いだけの結婚でした。

強いて別の言葉で言い換えれば、私の強烈な熱意に彼女が折れた、と言えるかも知れません。

結婚当初から離婚に至る経緯

結婚当初は、ごく普通の仲の良い新婚夫婦でした。共働きで、彼女の親が所有している3LDKの賃貸マンションを、ただで借りていました。

よく一緒に買い物に出かけたり、遊びに行ったり、家で過ごしたりしていました。ただお互い、独立心が強いというか、自分の世界を持っているタイプだったので、部屋は別々でリビングが共有スペースという生活でした。

やがて、一緒にいるとケンカをする毎日となり、私が転職したことをキッカケに、私は近くにアパートを借りて、別居結婚生活をすることになりました。この時点では、まだお互いに離婚することまでは、考えていなかったと思います。

1年後、私がもっと通勤に便利な、隣の市の公団マンションに引っ越すことになり、彼女との物理的な距離が大きくなりました(駅で2~3つくらい)。

さらに1年後、私はさらに隣の市の公団マンションに引っ越すことになり、私と彼女との距離は、さらに大きくなった気がします。

離婚しようとした理由

私から離婚しようと思ったことは、一度もありませんでした。結婚1年後くらいから、彼女の方から折に触れて、離婚話が出るようになりました。

それを私が毎回、何とかなだめることが、繰り返されました。そのうち、彼女の離婚に対する欲求(というよりも、私への不満)が強くなっていき、ある日彼女から「子供が欲しい」と言われました。

私が普通の夫(男性)ならば、多少のためらいは見せるものの、最後には押し切られるように、同意していたかも知れません。

しかし、私は断じて子供を作ることを拒否し続けていました。これには、当時彼女には知らせていない(というか、私自身も当時は気づいていなかった)理由がありました。

それは、私が「性同一性障害」という疾患であり、幼少時から結婚時までの長い期間、ずっと抑圧していたものの結婚生活を経て、ついに抑圧に耐えられなくなり、男性役割が苦痛になり「父親」になることは絶対に出来ないと悟ったからです。

離婚の前後の様子

彼女から離婚を「切り出される」1年前に、私は公団のマンションから、実家のある田舎に帰りました。

最後の1年間に彼女と会ったのは2回だけ。一緒に旅行に行ったことと、お正月に彼女のマンション(かつて一緒に住んでいた)に行ったことだけでした。

1年後に、電話と共に離婚届が送られてきました。私は自分の記名と印鑑をして彼女に返送しました。

離婚に際して、準備らしい準備は特にしませんでした。強いてあげれば、彼女との物理的な距離を徐々に大きく取るようにしていって、離婚に向けてのお互いの「心の準備」を無意識に整えていったことくらいでしょうか。

経済的な部分は、お互いに元々独立していましたし、離婚届出して正式に離婚する前に、すでに離婚しているのと変わらない生活をしていたので、外面的にはあまり変わりませんでした。

しかし、私の内面の意識では、離婚のショックは大変大きく、立ち直るまでに、数年かかりました。

離婚を進める時の最大の障害は「惰性(おっくうさ)」

私の離婚は、実は結婚1年後から徐々に始まっていて、それが実際に離婚に至るまで6年かかった、というのが真相だと思います。

離婚当時は分かりませんでしたが、今から振り返れるとハッキリしています。つまり、付き合ってから結婚するまで数か月、結婚してから離婚するまで6年、ということです。

世間ではよく、離婚するには結婚の何倍ものエネルギーが要ると言われます。私自身が身を持って体験しましたので、自信を持って本当だと言うことが出来ます。

それでも、6年かかって決着が着いたのは、彼女の最後の踏ん切りの良さが理由だと思います。彼女が決断してくれなかったら、私はいつまで経っても決断できなかったでしょう。

なぜなら私は、それまでの「別居結婚生活」を惰性で続ける方が気楽だったし、離婚につきまとう特に心理的な「転向」におっくうさを感じていたからです。この点はたぶん、男性に特長的な傾向ではないでしょうか。

離婚をして良かったこと、悪かったことは

離婚の原因の中心は、私の「性同一性障害」という疾患でした。もうすでに、離婚から10年近く経ち、現在は私は社会的には「女性」として働いています。

友人や両親にもカミングムアウト済みで、戸籍の名前を女性名に変更済みであり、近い将来、性別変更手術を受けて、戸籍の性別変更をしようと思っています。

離婚をして良かったことと、悪かったことを比べてみれば、結果的には、少なくても私にとっては、良かったことの方が遙かに多かったと思います。

離婚直後の数年間こそ精神的なダメージが続きましたが、いまではすっかり立ち直り、新しい、そして本当の自分として、人生の再スタートを始めています。

良かったことと悪かったことを、ひとつずつ挙げるとすれば、良かったことは、今の自分の人生のターニングポイントになったことで、悪かったことは、打算的に聞こえるか知れませんが、彼女と彼女の両親の経済力に頼れなくなったことでしょうか。

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